阪神淡路大震災から24年
あれから24年が経ちました。
改めて、犠牲者の方々のご冥福をお祈り申し上げます。
当時まだ0歳だったため、記憶は全く残っていないものの、生まれてすぐの私にとって、この震災は非常にインパクトのある出来事だったようです。
というのも、幼稚園への入園以前の唯一の記憶が、物心つく前に見た震災の夢でした。被災時はまだ幼かったのですが、幼いなりに何か感じるものがあったのだと思います。
さて、そんな阪神淡路大震災から24年がたった今、改めて日本の地震の多さに辟易する自分ではありますが、果たしてアラブ諸国ではどうなのか。。
そう思って調べてみると、過去に幾度も大地震を経験している地震地帯がありました。
アラブ世界最大の地震地帯
それは、シリア地方(歴史的シリア)です。
現在のシリア、レバノン、ヨルダン、パレスチナ(イスラエル国の領域を含む)一帯を指すシリア地方は、アラブ諸国でも特に有名な地震地帯となっています。調べてみると、死者数万人規模の大地震が何度も発生しているようです。
特に、551年のベイルート地震、847年のダマスカス地震、1138年のアレッポ地震、1202年のシリア地震での被害は特に甚大で、これらの地震により多くの古代遺跡も地震や津波の被害に遭い、喪失しています。
レバノン沿岸部の古代遺跡や、シリア地方各所のローマ遺跡などから当時の栄華を感じにくいのは、津波により甚大な被害を受け、当時の面影があまり残っていないからだと言えるでしょう。
しかし、これだけの地震地帯にありながら、レバノン有数のローマ遺跡バールベックにあるバッカス神殿は今も建築当時とほぼ変わらぬ外観を残し続けています。その建築技術には感嘆せずにはいられません。。
21世紀の大地震発生地
20世紀、シリア地方では、1993年に発生したM7.3のアカバ湾地震を最後に大地震は発生していません。
しかし、20世紀以降、シリア地方以外にも、アルジェリア、イエメン、イラク、エジプト、モロッコ、リビアなど、多くの国で大規模な地震が発生しています。
1. ブメルデス地震(2003年、M6.8)
2. イラン・イラク地震(2017年、M7.3)※震源地はイラン側
特に、イランとイラクの国境地帯で発生したM7.3の大地震は、イラク領内のクルド人の町ハラブジャを中心に多くの被害をもたらしました。1734年にクルド人名家のジャーフ家により建てられたシェルワナ宮殿も無残に破壊されてしまいました。
記憶の風化は歴史の風化
ここまで記事を書いてきて、私が感じたことを書きたいと思います。
847年のダマスカス地震のあと、被災したウマイヤドモスクが修復されました。
1138年のアレッポ地震のあと、被災したアレッポ城の外壁のみが修復されました。
しかし、ここで注目したいのが、その時代に価値があるとみなされたもの以外の遺産は、ことごとく無視されてきたという点です。
例えば、551年のベイルート地震では、大規模な津波が発生し、沿岸部のフェニキア人の時代からの遺構は完全に破壊されてしまいました。しかし、ビザンツ帝国のギリシャ人たちはそれを修復することなく放置しました。
また、中世に度重なる地震で被害を受けたパルミラのローマ建築も、いかなるイスラーム王朝からの修復も受けることなく放置され続けました(バアルを祀ったベル神殿は2015年にISにより破壊)。
このように、地震は、人々の日常を奪うにとどまらず、ときの支配階級から利用価値がないと判断された歴史的遺物をも奪い、その地の歴史もろとも風化させてしまうのです。
私はこれまで旅する中で、世界各地に残る記憶の断片を訪ねてきました。世界四大文明の遺産や、地中海世界一帯に残るローマ時代の遺構、そして、様々な時代の人々の生活の記憶・・・。
こうした歴史の記憶たる遺産・遺物は、まさに時代の生き証人です。私は旅人の端くれとして、古代文明の発祥から現代にまで至る歴史の流れを、これからもこの目に焼き付けていきたい、そう思う次第です。
いかがでしたか?
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