キリスト教の伝統息づく町
シリアについて調べていると面白い町を発見したので、ちょっとブログに起こそうと思います。
今回取り上げるのは、首都ダマスカスとホムスの間に位置する町マアルーラです。
約2000人ほどの小さな町ですが、その割に結構ユニーク・・・!
ここには、世界で3つの村しか残っていない現代西方アラム語という言語を話す人々が暮らしているのです。
内戦の前は多くの観光客が足を運んでいたとのことですが、すみません、初耳でした。
シリアの多様性、魅力の典型的な例だ・・・と一人で感動していました。
こういうのを調べるのは結構楽しいですね。
初期キリスト教の伝承の地
伝承によると、この町は、パウロによって洗礼を授けられたセレウコス王家の末裔、聖テクラがローマ軍の追手から逃げ延びた地であると伝えられています。この追手は彼女の父親が差し向けたものだというから何とも恐ろしい話です。。
彼女はマアルーラの山中の洞窟に身を潜めてローマ軍の追撃から自身と信仰を守り、聖人として列せられています。
彼女がその後の生涯にわたって身を隠したとされる洞窟には聖テクラ修道院が設立されています。一説では、その後キリキア地方のセレウキア(現在のシリフケ)に移住したともいわれていますが、本当のことはよくわかりません。
とはいえ、上述の伝承が物語るように、マアルーラは極めて初期の時代からキリスト教化が進んだということになります。
今も話される古代言語
マアルーラの住民の大半はキリスト教徒で、正教会系住民とカトリック系住民が混住する町となっています。
※シリアの宗教分布については、また別の機会に詳しく紹介しますのであしからず。。念のため言うと、ここで言う正教会系住民のほとんどはアンティオキア総主教庁に、カトリック系住民のほとんどはメルキト・ギリシャ典礼カトリック教会に属しています。
この町の住民は、アラビア語の浸透により多くの地域で消滅した西方アラム語の生き残りである現代西方アラム語を話しています。キリストが話したアラム語のガリラヤ方言も西方アラム語に区分されているため、実質的にキリストの言葉を話す最後の人々ということになります。
もう、ロマンを感じずにはいられません。。
復興が進む町
マアルーラでは、2013年の反体制派の侵攻に伴い戦闘地域となり、多くの建物で被害が生じました。しかし、聖テクラ修道院は、2014年から続いた修復工事が功を奏し、2018年8月には巡礼者、観光客の受け入れを再開しています。
※4世紀から続くこの町最古の修道院である聖サルキス修道院は、反体制派の拠点となったホテルに近接していたことから大きな損壊が認められ、いつ受け入れを開始できるのか不透明なままのようです。いち早く復興することを願います。
いかがでしたか?
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